集客の次は販売です。どんなにお客さんに集まっていただいても、買っていただかないことには意味がありません。この章では、売るという作業について集中してみていくことにしましょう。
商品も決まりました、ホームページも設置しました、集客も始めました。さて、これで売れるでしょうか?!と言うとそれだけではまだ足りません。
- 商品
- ホームページ
- 集客
これらは成功するネットショップに最低限必要な要素であり、成功を確約するものではありません。今やネットを駆使すれば殆どどんな商品でも見つけることができます。ホームページだって誰でも簡単かつ安価に作れるソフトやサービスが存在しています。集客の方法も予算に合わせて選り取りみどりです。
つまり、インターネットがここまで普及した今、その気になれば誰でも同じようなレベルのネットショップを始めることは可能なのです。
...ただ、もうそんなことはご存知でしたよね。分かりきったことを繰り返してすみません!でも、ちょっと待ってください。本当の意味でこれを理解している人は意外に少ないのです。あなたも念のため、私の真意を聞いて確かめてください。
(これからお話する内容は、ハッキリ言って一部の人にとっては「キツク」感じられるかもしれません。でもこの現実を深く理解しながらショップ運営をするか否かで、結果は大きく変わります!頑張って最後まで読んでね(^^♪)
まず、誰でもネットショップを開業できるとしたら、それは何を意味するのでしょう?
ズバリ、商品、ホームページ、集客の3つが揃っただけでは成功できないということです。それは単なるスタート地点に立っただけの話。横一線で何十、何百という競合が並んでいる状態を想像してみてください。
商品、ホームページ、集客の3つが揃っただけでは成功できない
どんなに珍しい商品を扱ったとしても、同じようなショップは必ず存在します。海外から仕入れようが、他県から取り寄せようが、似たようなショップがどこかに存在しているのです。「探したけど、見つからなかったよ!」という場合は、多分あなたが見つけられなかっただけの話。製造業者はあなただけに卸している訳ではないのです。
1つや2つならまだしも、通常は何十、何百といったネットショップがあなたと共通のお客さんに向かって、同じ商品を「うちで買って!」「うちで買って!」と叫び続けているのです。
それはニッチ分野で起業しても同じです。
あなたのお客さんは現在、誰か他の人から「何か」を買っています。それは、あなたが今から販売しようと思っている商品と「全く同じ」ではないかもしれません。ですが、お客さんの決まった予算の中から買い物をしてもらうという意味で言えば、「競合他社」の数はゼロではないのです!
繰り返します。商品、ホームページ、集客の3つが揃ったとしても、それは、「やっとスタート地点に立った」というだけの話なのです。
そんな中、競合を抑えて成功していくショップがあります。なぜか噂になり、訪問者を魅了するショップが出現します。競合他社とこのショップの差は何なのでしょうか!?
「それはテクニックだ!」と言う人もいます。お客さんが買いたくなるような喋り方や文章の書き方を知ってさえいれば、お客さんを「落とすことができる」というのです。
「店のデザインが違う!」と言う人もいます。心理的に買いたくなる色やレイアウトを使っているのだと。
「商品が微妙に違うのだ!」と言う人もいます。その店でしか買えない商品だから、そこの店は売れているんだと。
でも、それは本当でしょうか?よく考えてみると分かりますが、セールステクニックも、店のデザインも、商品の種類も、成功しているショップをよ~く観察すれば学べることです。
実際に商品を買ってたどって行けば、どこから仕入れているのかなんて分かってしまいます。ショップのデザインやレイアウトも隠すわけにはいきませんから丸見えです。だとしたら、
売れている店と、売れていない店の本当の違いはどこにあるのでしょうか。その他の条件を全て同じにしたとき、売れるショップと売れないショップの差は何なのでしょうか?
それは...
思いやりです。
びっくりしました?!でも、私は本気です。私だって最初からできていたわけではありませんよ~。長年ネットビジネスで稼いできた経験から、少しずつ学んできたのです。
もし最初から「思いやり」の重要性を知っていたら遠回りはしなかったのに...
そんな風に痛いほど感じているからこそ、あなたにも今この瞬間に理解しておいて欲しいのです。説明します。
「思いやり」を大辞林でひくと、「その人の身になって考えること。察して気遣うこと。同情。」と出てきます。ではこんな想像をしてみてください。
【思いやり】
その人の身になって考えること。察して気遣うこと。同情。
- 大辞林より
何かを買いに行って値段が分からなくて買うのをやめた経験はありませんか?
私は何度もあります。
他にも、店員に質問したらつっけんどんな態度をとられて、買わずに他店に行ったことや、店員同士が熱中しておしゃべりしていて嫌な気持ちになって買わずに去ったこと、自分の目の前で店長がバイトに説教をしているのを見て、自分がつらい気持ちになったこと。などなど。
これらのショップは、お客さんである「あなたに対する思いやり」があったと言えるでしょうか?「あなたの身になって」ショップ運営を考えていると言えるでしょうか?
分かりづらい内容かもしれません。ただ、凄く重要なことなのでよく考える必要があります。
お客さんはモノではありません。
売り上げでもありませんし、リストや単なる数字でもありません。
それぞれの人がそれぞれの人生を一生懸命生き、色々な悩みを抱えて生活しています。ちょっとしたことに感動し、悲しみ、そして時にワクワクしながら毎日を送っているんです。そうです、あなたやあなたの大切な家族と同じ「人間」なのです。もっと言えば仲間なのです。
想像してください。
あなたは情熱を感じる分野で起業しました。大好きなこと、熱中できることを題材にネットショップを始めました。
そして、あなたと同じ趣味の「仲間」が遂に来店してくれたその時、
「商品は見やすいだろうか?」
「お買い物はしやすいだろうか?」
「レジの場所は分かりやすいだろうか?」
「説明は十分だろうか?」
「問い合わせはしやすいだろうか?」
「安心してお買い上げいただけるだろうか?」
「楽しくお買い物ができる雰囲気はできているだろうか?」
「お客さんが読む文章に冷たさはないだろうか?」
と、来店者の視点で考えられる気持ちが「思いやり」です。とても当たり前のことだと思いますが、この視点でショップ運営ができている人は少ないでしょう...たぶん、当たり前過ぎて私たちは忘れてしまうのかもしれませんね。
もしかしたら、「ショップはこうあるべき」と、大手の「人間味のない」「冷たい」ショップを参考にしてしまったのかもしれません。
そして、「お客さんの身になって考える」以前に、どうしたらもっと売れるのか、どんなテクニックを使えばお客さんを落とせるのか...そんなことばかりに気をとられてしまうのです。
実際、世間には小手先のセールステクニックに関する本が氾濫しています。それらを買えば、まるで魔法のように売り上げがアップするような錯覚に陥ります。現にそういった「魔法」が存在するはずだと信じる人たちによって買われ、ベストセラー・リストに登場することもあります。
ですが、テクニックが全てではないことは実生活を例に考えればすぐにわかるはずです。嫌いな人には何をされても嫌なものです。どんなテクニックを使われても、その人からモノを買いたいとは思いません。逆に、好きな人が「これすごいいいよ」と言えば、それだけで「本当?!じゃ、買ってみようかな」と思うことさえあります。
ズバリ、テクニック云々を話題にする人は、もっと根本にある重大なことを忘れているのです。どんなテクニックを駆使しても、どんなノウハウを使っても絶対にあなたから買ってくれない人がいることを忘れているのです。
誤解を恐れずハッキリ言います...「あなたのことを嫌いな人」。
あなたのことを嫌いな人は、どんな言葉を使っても、どんなお世辞を言ってもあなたからは買いません。仕方なく買うことはあっても、同じような店が他にできれば、真っ先にそちらにスキップしながら行くでしょう。
もう一度言います。テクニックや商品、店のデザイン云々以前に、お客さんが気にすることがあるのです。それは、あなたのことを好きかどうか。これが成功の鍵を握っているのです。
あなたのことを好きかどうか。これが成功の鍵を握っている。
「でも、お客さんに好かれるなんて、どうしたらいいんですか?」と思うかもしれません。物質的な視点でモノを見る癖がついていると「結局、他店より安くするしかないのか!」と思うかもしれません。
ですが、価格以外にお客さんがあなたを判断する要素はたくさんありますよ。私があえて、「他店より高めに設定してください」と言うのは、安さにこだわった時点で他の要素を見ることができなくなるからです。
何十何百とある「お客さんがあなたを好きになる要素」を無視して、とにかく安く...と考えている時点で、ほぼ敗北は決まっているのです。
お客さんがあなたから買う理由が「安さ」だけだとしたら、同じ値段で売るショップが登場したらどうなりますか?お客さんは、なぜあなたから買う必要があるのですか?さらに、あなたのショップよりも断然安い店が登場したらどうしますか?こうなったらお客さんの気持ちを引き止める要素は何もありません。
あなたは、「お客さんが他店の存在に気付きませんように...」と祈るほかないのです。だって他にお客さんがあなたから買う理由がないのですから。
ここで重要なのは、「好き」「嫌い」の判断基準は値段だけではないということ。はっきり言って値段など見えなくなるほど重要な要素が他に山ほど存在するのです。
その中でもあなたによく考えて欲しいのが、冒頭で述べた「思いやり」です。誰かが心から自分のことを大事に思ってくれていることが分かったとき、あなたはどんな気持ちになりますか?嫌な気持ちはしないはずです。それどころか、あなたの中でとても特別な存在になるはずです。
私たちは言葉や表示方法のテクニックで心理操作されて、欲しくない商品を買ってしまうこともあるかもしれません。ですが、翌朝目覚めて「やられた!」と思うのです。私たちは馬鹿ではありませんから、欲していないモノを心理的にコントロールされて買わされた時の感情は絶対に忘れません。
この「やられた!」という気持ちが発生した時点で、もうそのショップに対する好意は吹っ飛びます。「二度と買うか!」という気持ちになってしまうのです。こうなってしまったらどんなテクニックも通用しません。嫌いな人からは何が何でも欲しくは無いのです。
念のため言っておきますが、私は別に「あなたが詐欺を働くかもしれない」と疑っているわけではありません。そうではなく、「私たちは知らず知らずの内に、お客さんに嫌われる行為をとってしまうことがある」ので、気をつけて欲しいと願っているのです。
殆どの人が実生活では思いやりにあふれた人だと思います。ですが、なぜかショップにはそれが表現されていない人が多いのです。
1つ文章を書くにも、
「当店はこれはできません。あれもできません」
「この場合はお返事しません」
「最近エラーが多いようです。間違えないでください。」
「●●はお断りします」
といった、私が「拒絶系メッセージ」と呼んでいる文章を、知らず知らずのうちに書いてしまう人が非常に多いです。そして、商品の画像も「大きいのは作るのが面倒だから...」と、非常に小さなモノを申し訳程度に掲載して平気な人がとても多いのです。
これではお客さんに「嫌われます」。口でハッキリと言われなかったとしても、大事にされているとは絶対に感じてくれません...
繰り返しますが、成功するには何よりも先に「お客さんに好かれる」ことが重要です。そして、お客さんに好かれるためには、誠意を込めた「思いやり」を持つ必要があるのです。文章を書くにしても、画像を作るにしても、
「どうしたら商品がもっと見やすくなるかな?!」
「どんなフレーズを書いたら、もっと楽しい雰囲気を演出できるかな...」
と、お客さんの身になって考える習慣が重要なのです。それから普段のメールのやり取りでも、お客さんの良いところに気がついたら褒めてさしあげたり、ショップについて嬉しい言葉をいただいたら、心からの感謝を表現するべきです。
自分がして貰ったら嬉しいことを、まずはお客さんにしてさしあげる。そうすることで、お客さんはあなたやあなたのショップのことが気に入って、きっとファンになってくれるでしょう。
私はここで、「表面的でもいいから、お客さんに気に入られる努力をしよう。嘘でもいいからお世辞を言って取入る努力をしろ!」と言っているのでしょうか?!
いいえ違います!嘘はバレますし、お世辞は誰にとってもミエミエです。本気で心からお客さんに思いやりを持とう!と言っているのです。
そんなの無理!という人には良く考えて欲しいことがあります。あなたの夢をかなえてくれるのは、あなたの知識でもなければテクニックでもありません。あなたのお客さんが山とある競合店の中からあなたを選んでくれることで、初めて収入となり、そして、あなたは夢に一歩近づくのです。
だとしたら、まず誰を大事にする必要があるか分かりますよね?!自分の機嫌が多少悪くても、忙しくてイライラしていても、誰がお金を運んでくれることが理解できていれば、その人たちのために多少の努力は苦にならないはずですし、苦になってはいけないのです。
よく町の雑貨屋さんで、仏頂面の店員さんがいかにも機嫌悪そうに店番をしていることがありますが、あれははっきり言って誰がお金を運んでくるのかを理解できていない良い例です。お客さんは見ています。店員の態度や雰囲気を。嫌だな...と感じたら買わないで去ることもありますし、他で買えるなら二度と来店しようとは思いません。
人に何かを頼む際に、仏頂面でイライラしながら頼んでも動いてはくれません。お願いするときはお願いするときの態度があります。ショップも同じです。もちろんショップとお客さんが対等な立場で取引をするのがベストですから、ショップ側がヘイコラする必要はありません...
だからと言って上から見下ろす必要もないのです。お金を払ってくれるお客さんに、仏頂面で対応したら、それは「お客さんを上から見下ろした」、「感謝していない」態度なのです。それはとても「対等な立場」とはいえません!(でもそんなショップが本当に多い!)
お店を利用してくれる人に対して「思いやり」の気持ちを持つことで、今までに想像もできなかった作業が色々浮かんでくるはずです。今までなら、「どうしたらもっと売り上げが上がるだろうか」、「どうやったらもっと大量に買ってくれるだろうか」と考えていたのが、今度は、
「どうやったらもっと喜んで貰えるだろうか」
「どうしたらワクワクしていただけるだろうか」
「どうしたらもっとお買い物体験を面白くできるだろうか」
「何を改善したら、もっと感動していただけるだろうか」
そんな視点から考えられるようになるのです。ただ注意しなければいけないのは「買ってくれた人」だけに対する思いやりは、新しいお客さん獲得には効果が薄いということ。
買ってくれた人に心からの対応をするのは当然です。次の章でお話しますが、既存客へのサービスがリピーターを生み、ショップに本当の利益をもたらしてくれるのですから。ですが、他店とあなたを比較している段階のお客さんに対して、「買って見なければ分からないサービス」を充実させたところで意味がないのです。
では、どうしたらいいのか。
既存客、見込み客関係なく、すべての人に対して「思いやり」をもって対応するのです。
既存客に対してさえも思いやりを持った対応ができないショップが増えています。誰でも簡単にショップを始められてしまうことと無関係ではないはずです。そんな中、誰に対しても隔たりなく利用者の身になったネットショップを構築、そして運営することができれば非常に大きな差別化ができます。誰もやっていないからこそ、今すぐ始めるべきです。